帰りたい
帰りたい
あなたの家を探してひとり彷徨う
古い表札
庭にはクチナシの花
深い 濃い匂い
そこにはいつも暖かい光があたっていた
帰りたい
帰りたい
今でもあなたがそこにいるような錯覚
お香の煙
縁側に干された洗濯物は
もう乾いている
私はいつもそこで優しい風を感じた
あなたもこの家も永遠に私のために在るような気がした
でもいつの日か全てが変わり果て
私も失い、悲しみを知る時がやってくるとわかった
私につきまとい続けた悪夢
今もあなたの家に帰りたい
今も歩きながらあなたに向かっている
でもあなたの家は見つからないから
私は地面を踏みながら涙をこぼす
どこに帰ればいいのかわからない
どこに平和があるのかわからない
私はひたすらまっすぐ歩くけれど
この道は永遠に続くように終わらない
帰りたいのに
帰りたいのに